「いろもの」~はじまりの色~
【色もの】とは、
植物の持つ緑色の葉緑体が突然変異で一部もしくは全部が欠損し、
本来の色が表面にあらわれた植物のこと。
古来、中国ではその変異が珍重され高く評価されてきました。その価値観は日本にも伝わり、サボテン、多肉植物を含む様々な園芸植物において「斑(ふ)入り」・「錦(にしき)」として特別視され、高値で取り引きされています。特に評価が高いのは、全体的にうっすらと葉緑体が抜けており、薄布を通して肌の色が感じられるような繊細な風合いのもの。
お茶の文化のように「出すぎず、さりげなく」といった具合が良しとされています。葉緑体が全体的に抜けてクッキリと植物本来の色がわかるものは、「ベタ斑」と呼ばれ、マニアの世界では価値が低いとされていますが、叢が考える「色もの」の面白さは少し違います。
自分が持つ色を目一杯に表現したサボテンには、南国のめずらしい果実や、咲き誇る花を見た時に感じるような、シンプルでまっすぐな美しさがあります。ベタ班は、自分で根を出すことができないため、通常はすぐに枯れてしまいますが、別のサボテンと組み合わせて接ぎ木にすると、鮮やかな色を保ったまま元気に生長します。
今回は、「錦」と呼ばれる特に色鮮やかなサボテンを中心に、刺にも色があるもの、肌が特徴的なものを全国の農家さんから集めてご紹介します。一般的には愛好家が集めるものではないため、ほとんどの農家で栽培されておらず生産数が非常に少ないものばかりです。
「いろもの」の魅力を感じていただけたら嬉しいです。