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2016.09.16 | cat. 日々

化粧土の役割

化粧土とは

鉢植えの表土を 土や石やその他の材料で覆うことで

基本的に植物の育成とはなんら関係はなく

表面を美しく見せる為に施すものである

 

叢でも たいてい白い発砲した石で覆うことが多い

 

なぜ覆うか?

植物の育成には関係はないと書いてはみたが

実は育成に多いに関係があるからである

 

鉢植えの植物はいくら強健なサボテンや多肉植物だからといって

人の管理が必須になる

これはどうしたって間違いない

 

つまり人の愛情無くして

植物の生長はないのである

いくら古木がいい 腰折れがおもしろいって言ったって

少なからず 手は掛けてやらないといけない

 

植物を際立たせ より愛着を持ってもらう為に

叢の化粧土はある

 

2016.9.16 小田康平 

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2016.09.13 | cat. 日々

色彩の効果


色彩は空間を大きく変える

やたらたくさん色を使うのではなく

効果的にちょこんと垂らす

 

ハンドボール程度の黄牡丹が

無機質な空間に締まりを与え

印象を最大限に発揮する

 

あれやこれや足し算で

いろいろ見せつけるよりも

一点で決める方が

潔くて 最も効果的に思う

 

 

 

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2016.08.06 | cat. 日々

植物の爆発力

ここのところ植栽のご依頼をよく受ける

 

屋内だったり屋外だったり 雨が当たったり当たらなかったり

様々な環境下で植物ニーズがある

 

依頼を受けた後に植物のセレクトをするわけだが

叢として 最もお見せしたいのは植物の生命力

さらには爆発力

 

植物の珍品具合や

植物の大きさはあまり意味を持たない

そんなものは はっきり言って一年で飽きてしまう

 

植物の爆発的な生命力を感じてもらう為には

その植物がその環境下で本来の力を発揮する性質を持っているかどうか

が 必須の条件となる

 

これはそれぞれの植物の原産地の気候をベースに考慮していくが

植物の中には 熱帯出身のくせにやたら寒さに強い性質を持つなど

不思議な耐性を持つものもある

これだから植物選びはおもしろい

 

植物の特性を考えた後は

植栽場所の環境を読む

しかし 多くの場合は完璧には読めないので

植物に聞く(どう植物に聞くのかは また今度)

 

温度 雨量 風 日照 など 植物にマッチさえすれば

植物は壁面だろうが 手狭な環境だろうが

枯らそうと思っても枯れないくらい繁茂する

 

画像は壁面にはびこる クラプトペタルム

おそらくはこの大群生株に 土はほとんどない

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2016.07.17 | cat. 日々

銀座メゾンエルメス Window Display

メゾンエルメスの ウィンドウディスプレイ

これまでもっともトライしてみたかった仕事の

ひとつだ

 

話が舞い込んできたのは今年の1月

表面に見えるサボテンの背景にいる

今回のディスプレイを支えてくれた人々は

知っているだけでも ざっと50人ほどはいる

全ての人が 積み上がってかみ合ったからこそ形になった

 

それだけこの仕切られた空間で

サボテンを絨毯のようにたった一晩で植え込む事が

困難なことだということだ

 

タイトルは「旅の途中」

使用しているサボテンは27種類 約2500本

’旅’ というのは

この世界に入っている二人の ’旅’

そしてサボテンの ’旅’ という2つの旅が 意味として込められている

 

 

不思議な世界に舞い降りた二人は植物調達を開始する

どこの国 どこの時代かも連想しにくいような

遠い世界の服装を纏った二人はあたりを気にしながら

繁茂する植物の中を 旅する

 

今回使用しているサボテンは

出来る限りからだが大きくならないように

強い直射日光に耐えるため 白や黄色の毛を纏い

呼吸も夜間にこっそりおこない

ただただ遺伝子をつなぐことを使命とし

生きる

 

大きくなるだとか 生息域を拡大していくだとか

いう野望は無く

サボテンという乗り物を使い

遺伝子は 旅 をしている

シンプルに ただあり続ける事のみを目的として

 

 

エルメスから渡されたテーマは「自然ー軽やかなギャロップ」

自然とは 文明が入り込んでいない あるがままの状態

 

もちろん自然を象徴する植物を密集して植え込み

自然を表現しているわけだが

今回は少しだけ いたずら心を 組み込ませてもらった

 

この世界には それぞれ1本ずつ 接ぎ木を仕込んでいる

緑の柱サボテンの上に 一方は黄金色の

一方は白い柱状のサボテンが接がれている

 

どちらも人間の意思で接がれたもので自然界には無いもの

そこには文明が垣間見える

しかしそれぞれの植物は時を経て

人の作為や思惑を遥かに越え

植物の意思で 自然に戻ろうとしている

傷つき 欠けようとも

植物は生きる

 

そのたくましさこそは

叢で伝えていこうとしている

植物の美しさ

 

 

 

 

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2016.05.29 | cat. 日々

マンションの植栽

マンションのベランダの植栽

陽当たりが確保できなかったり

冬が寒すぎたり と なかなかハードな環境が多いベランダ

 

今回は2カ所のベランダの植栽をおこなった

一つ目は陽当たりが充分確保できないベランダ

このような場所は日陰に強い植物を選択するのはもちろんだが

日照不足により冬場の低温も考慮しなければならない

 

葉の形や色 樹形などインパクト重視ではなく

その場の環境ですくすくと生長していく事を最優先に考えなければならない

これは当たり前のようで 植物の事をしっかり知らないと出来ない

少し込み入ったこと

 

もう一つは陽当たりはいいが 冬場の寒風が気になる場所

多くのサボテンや多肉植物は 屋外では不向きとされているが

全てのサボテンが屋外が無理と言うわけではない

ただしこれらは生産数が少ない為に 自家生産してゆっくりと増やしている

 

植栽時が完成ではなく

この先何年もかけて生長し なじみゆっくりと完成に近づいて行く

ただしいつまでたっても完成に至る事がないのが 植物の面白さ

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2016.05.11 | cat. 日々

イベントの装飾

今回は東京上野での 披露宴の装飾

大型サボテンやアガベ

ディクソニアなど 人力で搬入できる限界のサイズで

装飾に挑んだ

 

花は 熊本や広島のものを中心にカラーやユーストマ

花屋時代のことを思い出しながら調達から 活け込み

 

活け込みに関する全ての什器は専用にデザインし アイアンで造作

 

枝ものなどは野生感を出す為に 山に入り枝や蔓を調達

仕込みに約1ヶ月を要した 

自分にとっては

かなりのビッグプロジェクトになった 

 

それでいて 披露宴と言うものは 当然植物ショーではないので

機能性と見栄えのバランスを考え

実に勉強になる いい機会を与えて頂いた

 

今後のディスプレイ インスタレーションに使えるアイデアを

山ほどもらったような気がする

 

披露宴は これまで参加させてもらった

どの披露宴よりも 豪勢でかつ あたたかみのある

素敵なものだった

このようなすばらしい貴重なイベントに参加できて

本当にしあわせ者だった

 

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2016.04.17 | cat. 日々

作品としての鉢植え その4

陶芸家 西村昂希(にしむらたかき)さんの鉢

 

多くの陶芸家さんは 土屋さんで土を買い

それを成形して焼く

 

西村さんは庭や裏山で 土を掘り出し

練って こねて成形する

不純物の多いその土は

雑味があり 野性味がある

 

てらいの感じられない器は

飽きがこない

 

植物は 長城丸モンストローサを合わせてみた

生長点異常により

もはや長城丸の姿とは似ても似つかない風貌

サボテンなのかどうかも怪しい

 

突然変異によって想像を超えた変化を

起こしている植物と

火や土が作り出した偶発的な肌が上手く重なって

一体化している

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2016.03.31 | cat. 展覧会

新潟越後妻有 大地の芸術祭

このたび新潟の越後妻有で行われている国際的な芸術祭である

大地の芸術祭の会場の一つ

農舞台という 空間で

4/14(木)から 展示を行う

 

先日 出版した書籍発刊のイベントでもあり

写真集に登場した植物もいくつかお目見えする

 

今年は50年に一度と言われるくらい雪が少なく

下見の為 現場を訪れた際も

路面にはほとんど雪がなかった

 

新潟では初となる展示

アート作品が様々に点在する地域の中で

鉢植えの植物がどれほど観賞に値するか

挑戦という思いで 臨もうと思う

 

くわしくはこちら

http://www.echigo-tsumari.jp/calendar/event_20160414_0619

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2016.03.14 | cat. 日々

最近注目

最近 植物の「ドライ」に興味が出てきた

これまでもドライフラワーとして 大きなものから奇妙なものまで

いろいろと取り扱ってきたが

今の見え方は少し違う

 

植物の骸(むくろ)というのは そこに生が無い為に

色やつやを失い

その代わりに シルエットが強調され

生から死へと経過した時間が凝縮されてそこに残る

 

花を吊るして干す それ とは違い

立ち枯れた姿は 神秘的にすら感じ

モノクロ写真のように 深く意味のこもった芸術品のように感じる

 

ゆっくりと死へと向かう中

生物の命ともいえる 水分が昇華し

そこに残った「生きた証」は 骸となる

 

表面的な美しさが取り払われたとき

奥に隠されていた 意味が初めて見える気がする

 

画像は 立ち枯れたオクラの畑

この撮影後 持ち主を捜し ほんの僅かばかりいただいた

 

 

 

 

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2016.02.12 | cat. 展覧会

明日から レフにて 鐵+骨白展

明日2月13日(土)から広島 袋町ref.にて

エキシビジョンスタート

 

毎年この時期に開催するこの展示会は

今年で3回目

 

萩の陶芸家 濱中史朗さんの鉢に

1年間貯めてきた サボテンや多肉植物を合わせる

 

史朗さんの鉢は 回を重ねるごとに

どんどんグレードが上がっていく

植物選びも負けていられないので

よりストイックに より個性的なものを

全国から探し抜く

 

魂のこもった人の手が作り出す造形美と

植物の作りだす造形美が 重なり合う

そして それらは混じり合うこと無く 輝き出す

明日 明後日は 僕と史朗さんが在廊です 12−20時