年間 100件以上農家さんや愛好家さんを周り
数えきれないほどの多肉植物を見ているが
いまだに 初めて見る種類の多肉植物は 後をたたない
中には 他の何とも似つかない ユニークな植物にも
出会えたりする
飽き性の自分がいつまでたっても 飽きる事の無い
植物の世界は ほんの多肉植物だけの分野でも果てしない
画像は セネキオ サギナータスの 特殊タイプ
球状の茎に 変な模様
車で移動をしている間
外の風景に目を向けることが多い
その先にあるのはいつも植物
街路樹であったり 草むらであったり
ごくごくありふれた植物のある風景
それらは誰もが見ている光景ではあるが
誰もが目に留めない光景
それらをちょっと切り取って
頭の中でステージにあげてみる
そうすると気にも留めなかった植物たちが
どれほどかっこいいものであるかが見えてくる
そしてその植物たちが奇跡的にそこに存在しているかがわかってくる
鉢植えや植栽を生業としている自分にとって巣立っていく植物たち
あり続けることをいつも願っている
しかしいつもそれらが元気よく育っていくわけではなく
環境が良くなく あるいは管理不足で
残念ながら枯れてしまうものもある
人が大切に育てようと思っていても
枯れてしまう時は枯れてしまう
それほど植物というのは環境に依存する か弱いものだ
しかし植物が環境とピタリと合った時
植物は爆発的なエネルギーを放つ
剪定されても剪定されても大きくなり続ける街路樹
冬に枯れ草になってもまた春には萌える雑草
そこには力があり
歴史がある
奇異なサボテンや多肉植物でなくとも
かっこいい植物はそこらじゅうにある
初めてお話をいただいたのはもうかれこれ3年前くらい
小説家さんとのコラボレーションなんて
思いつきもしなかった
山崎ナオコーラさんという
植物に興味津々な小説家さんが
この不思議なコラボレーションを受け入れてくれた
俳優と同じように ある植物が固有名詞的に登場するこの物語には
びっくりするほどの様々な背景を持った人々が現れ
そしてサボテンを取り巻きながら関わっていく
叢をモチーフにしたお店も登場し
そのお店の店主も登場する
先の読めないストーリーにわくわくしながら
登場する植物にそわそわしながら
のめり込んでいってしまった
叢の考える様々なコラボレーションの中でも
特に風変わりな あるいは画期的なこのチャレンジは
結構大きな一歩だと思う
タイ バンコク
サボテンや多肉植物を仕入れにやってきた
タイと日本では
圧倒的に気温が違う
この日も最高気温36℃
冬の日本から到着した身にとっては
50℃くらいの気分
タイは園芸国家であり
様々な植物を品種改良し新品種を作出している
サボテンや多肉植物もしかり
国内では見たことも無い新品種が多く並ぶ
特に高温を得意とする品種
例えば兜丸 などは びっくりするものが多い
(画像は群生のゼブラ兜丸)
園芸の方向性も国民色が大いに出る
日本人は小さく繊細で技術が凝縮されたものを好む
タイでは 品種改良を得意とするために
交配で生み出された 特徴が突出したようなものが好まれている
接ぎ木などでも 到底思いつきもしない
組み合わせのものを見ることが出来た
仕入れ先としても価値のある国だが
ここのところ サボテンの接ぎ木について
聞かれることが多く
これまで何度となく しゃべってきたことを
あらためて考え直す機会があった
本来 接ぎ木とは穂木の生長を促進させる園芸技法であって
台木を含めた全体としての観賞価値は全くない
しかし これまでの園芸を知らない人や
物事に意味を求めたり デザインを考えたりする人たちにとっては
穂木の価値よりも全体の雰囲気の方を重要視する
接ぎ木のおもしろさは
人の手によって接がれた造形と
そこから人の手には及ばない植物の生長が重なり
人にも植物にも作ることの出来ない
不思議なかたちが出来上がること
そこには 大地と離れた世界で育つ